子どもの矯正治療の装置と治療費について
2017/12/31
小さなお子さんの歯並びが心配で、歯医者さんに相談したら、
お子さんは矯正したほうがいいですね~
歯医者さん
そうですが・・・こんなに小さいころからできるんですかぁ・・・
お母さん
なんてことを思ったりしたことはありませんか?
それは、治療費のことが心配というのもあるでしょう。
小さいわが子がいったいどんな器具を使って矯正するの?と心配になるところもあると思います。
だって矯正といえば・・・
ザ・矯正ですよね。
ご心配なく!5~7歳の子供たちには、このように全部の歯に金属をつけての矯正は行いませんので。
院長
小児矯正で使用する装置の選択について
装置を紹介する前に、なぜいくつも装置が存在するのか?お母さん方には不思議な部分もあると思います。
僕が考える、「各歯科医の先生の装置選択の基準」は次のとおりです。
- それぞれの歯科医が使いなれているものを選択する。
- 小さい子供だと、取り外しの方がお母さん、お子さんが安心して使用できると考えて選択する。
- 治療が確実に進む(取り外し装置の入れ忘れなどがない)と考え、固定式(装着したまま)の装置から選択する。
- 歯科医によって「歯並びが悪くなる原因」について考え方が違うので、その解決のための装置選択が変わってくる
- 子供の歯並び・かみ合わせの問題への診断方法が歯科医によって違うので、その解決のための装置選択が変わってくる。
「歯並びが悪くなる原因」への考え方が違うと、使用する装置や治療内容は変わってきます。
リンク)口呼吸が原因で歯並び・かみ合わせが悪くなる理由
成人の矯正であれば「ブラケット+ワイヤー」を使った装置で、
材質の違い、装着位置の違いはあっても、そこまで大きく装置に変更がありません。
なぜなら・・・中高生以上の成長期を終えた成人矯正には、「アゴを拡げる」という要素がなくなるので、歯を並べることだけを考えます。
ですので、細かな差はあっても、成人矯正治療では、
- 歯並びの大きさとアゴの大きさのアンバランスを計算し、歯を抜く、抜かないを判断する。
- スペースに合わせながら歯を並べる。かみ合わせを調整する。
- きれいに並んだ歯ならびを保つ(保定する)装置を半永久的に使用する。
この3つだけを考えるので、あまり装置の種類はありません。
小児矯正で使用する装置の紹介とその特徴について
1)取り外し式(可撤式・かてつしき)装置について
①拡大床(かくだいしょう)
上顎拡大装置
下顎拡大装置
上顎前方拡大
バイオブロック装置
毎日指示された時間の装着を行い、指示された通りにネジを巻きます。
食事中は多くの装置では外しますが、一部装着したまま食事をするタイプもあります。
院長
- 歯型の型どり(印象)ができないと作成できない。
- 装置の合う、合わない、緩い、きつい、痛いなどで調整が必要。
- キチンと装置を入れて、ネジを巻く必要がある。(入れ忘れや巻き忘れると治療がうまく進まない!)
装置の入れ忘れ、ネジの巻き忘れで思うように治療が進まないことを嫌って、この取り外し式を選択しない歯科医もいます。
忘れているうちにお子さんの貴重な成長期は過ぎていきますからね。時間は大事にしないと…
院長
②マウスピース型
マイオブレイス
プレオルソ
ムーシールド
T4K
- 子供の歯並び・かみ合わせの状態に合わせて選択する。
- 子どもの年齢によって選択。4~5歳の子でも使用できる。(低年齢で型どりできなくても使用できる)
- 装置を開発した人なりにそれぞれ考え方があり、各歯科医がどの考え方に賛同して選択するか?
使い方も多少違いますが、基本的に食事中は外し、それ以外の起きている時間と、夜の睡眠中に入れて使用します。
学校へは装着していかないことが多いと思います。なぜなら、装着中は話ができないから。(学校で話できないのは困りますよね。)
どれも同じように見えますが、形やサイズが微妙に違ったり、治療する目的が違います。
だから、お子さんの歯並びの状態や口の大きさに合ったものを使わないと、まったく違った結果になりますよ。
市販で販売されているものもあるようですが、僕はご家庭の判断で市販の矯正器具を使用するのはオススメしません。
場合によっては、かみ合わせの問題が逆にひどくなったりしますから。
院長
2)固定式拡大装置について
すべてに共通して使用するのが、「バンド」という金属性の輪です。
これで、歯に装置を固定します。ですので、装置を使用している期間はバンドを取ることはありません。
(もちろん、歯科医院では簡単に取り外せますよ。)
ですので、普段からむし歯のリスクが高い子供さんにはあまり向きません。
小児矯正の前に…むし歯のリスクコントロールが重要です。
せっかく歯並びがよくなったのに、むし歯になっては、元も子もないからね。
院長
リンク)むし歯予防に大切な3つのこと。
①バンド+ワイアー型
クワドヘリックス
バイヘリックス
リンガルアーチ
- 装置が外れないので、24時間装着したまま。丁寧な歯の清掃が必要。
- ワイヤー型なので、調整は歯科医院ですべて行う。
- 調整には歯科医の技術と経験が必要。
②バンド+スクリュー(ネジ)型
急速拡大装置①
急速拡大装置②
- 装置は24時間装着。丁寧な歯の清掃が必要。
- スクリュー(ネジ)型なので、自宅で定期的にネジを巻く必要あり。
- スクリュー(ネジ)型なので、技術的な問題は少なく、確実に治療が進む。
- スクリューを巻くスピードにより、歯並びではなく、
上アゴの骨を確実に、しっかり拡大できる。
リンク 顎を広げるとは?
③バンド+ブラケット+ワイヤー
ツーバイフォー
- 永久歯の奥歯2本と前歯4本が生え変わった時点で装着。
- 確実にワイヤー通りに歯が並びやすい。
- ワイヤー通りに歯が並ぶので、アゴの成長に関しては、あまり考えていない。
基本的に歯にブラケット+ワイヤーを装着すると、歯を並べることに関しては、最強!
顎を広げたあとに、どうしても歯並びを修正したいときに使いますが…
ただ、アゴの成長に関しては、アゴを拡げるという点からはややマイナス…
だから、アゴの成長が終わった成人矯正では第一選択の装置。
小児の時期にはできるだけアゴを成長させたいので、できるだけ使用は避けたいところです。
院長
3)保定装置について
プレートタイプの保定装置
マウスピースの保定装置
ワイヤー固定式の保定装置
- 歯並びを動かした後、元に戻る「後戻り」を防ぐために装着。
- 取り外し式が多いが、歯にワイヤーをつけてしまう固定式もある。
- 使用期間の目安はあるが、使用を中止するとその場から後戻りとの闘いになる。半永久的に使用することもある。
成人矯正で使用する装置の紹介とその特徴について
成人矯正での装置は、基本的に「ブラケット+ワイヤー」になります。
メタル(金属)ブラケット
セラミックブラケット
舌側ブラケット
顎間ゴム
- アゴの成長は望めないので、歯の大きさとアゴの大きさのアンバランスを計測し、抜歯・非抜歯を決定。
- 計算したスペースに、ブラケット+ワイヤーで確実に歯を並べていく。
- 治療の後半で、かみ合わせを修正するゴムをかけることもある。
- 保定をしないと確実に後戻りするため、保定装置が半永久的に必要。
矯正治療の治療費について
一般的な歯科医院、矯正歯科医院での費用について。
まずはじめに、矯正治療は、ほとんどのケースで自費診療です。(アゴの手術を併用する場合は保険適応)
ですので、基本的に各歯科医院で価格は自由に決定します。
①矯正相談(無料のところもある) 数千円~1万円
お子さん本人、親御さんの気になっているところを問診し、一般的な矯正治療の流れを説明します。
②検査、診断料 1~3万円
レントゲン、お口の写真、模型を中心に、お子さんの状態を診断し、その人の問題に沿った治療計画を具体的に説明します。
ここからは、小児矯正と成人矯正ですこし分かれます。
③小児矯正では治療費は2パターン
③-1 1装置あたりの料金設定
上、下それぞれ1装置あたり
1装置:3~6万円+月々2~5千円の調整管理料
③-2 装置やそのほかの器具を一括料金制で設定
装置やその間の必要な装具を一括
総額 30~40万円+月々2~5千円の調整管理料
③成人矯正では材料の違いにより2パターン
③-1 歯の表からブラケット+ワイヤーを装着 60~80万円 (金属が低料金、セラミックは追加料金)
③-2 歯の裏からブラケット+ワイヤーを装着 100万円以上
歯の裏からブラケットを装着する治療は高度な技術や治療時間が表からより時間がかかることが多いので、費用設定は、表からの1.5~2倍の設定が多いようです。
院長
④保定装置 2~5万円(上下)
これも、小児と成人で若干違います。
保定の必要性への考え方も違います。
ブラケット+ワイヤーを装着したケースでは、必須です。
まとめ
矯正装置と治療費の目安について書いてきました。
矯正治療は保険診療にはありませんので、それゆえいろんな治療方法が行われてきました。
ですので、医院によって
- 小児の歯並び、かみ合わせが悪くなる原因への考え方が異なる。
- その原因を解決するための装置が異なる。
- 装置や使用方法が異なるので、治療期間、治療費も異なる。
という特徴があります。
お子さんにあった治療法を選ぶのも大変でしょうが、今回の内容が選択の参考になると幸いです。
リンク) かすが歯科の小児矯正について。
リンク) 矯正治療の治療期間について。